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【blackbird books】

豊中・緑地公園。落ち着いた街並みに寄り添うように、ひっそりと佇む一軒の書店がある。「blackbird books(ブラックバードブックス)」だ。本好きなら誰もが、扉を開けた瞬間にほっと息をつくような、澄んだ空気が流れている。

ビートルズの曲が店名に

店名は、ビートルズの名曲「ブラックバード」に由来する。店主・吉川祥一郎さんが、曲に込められた“自由”の精神に強く惹かれたことが理由だ。「いつか自分の店を持ちたい」。10代から抱き続けてきた思いを胸に、レコード会社勤務を離れ、自分のペースで向き合える“好きな本”の世界に飛び込んだ。

店主の吉川祥一郎さん。神戸市出身、45歳。

店に並ぶ本は、すべて吉川さんが選び抜いたものだ。古本と新刊が自然に混ざり合い、棚には文学作品や写真集、アートブックが中心に並ぶ。「作家のこだわりが伝わる本」を扱うのが吉川さんの基準だという。作家が自らの人生を語っていること、あるいは時代の空気をまっすぐに写し取った力強さがあること。だから、この店で初めて運命の一冊に出会う人も少なくない。

”好きな本”を店主と探すことも

もっとも、本との出会いは簡単ではない。そんなとき、吉川さんと話すことで、思いがけず近づくことがある。「こちらから声をかけることはないんです。でも、声をかけてもらえれば一緒に考えたい」。読み手の趣味や最近心に残ったことを聞きながら、吉川さんは“出会い”の気配を探っていく。出会いまでのプロセスそのものが、この店で過ごす時間の楽しみでもある。

いま吉川さんが応援している若い作家のひとりが、2000年生まれの写真家・濵本奏さんだ。戦後80年の節目に、海底特攻とも呼ばれた「伏龍」を題材に、過去と現在を重ね合わせて描いた写真集に注目しているという。

さらに、ブラックバードブックスにはもうひとつの顔がある。隔週末、本棚の間に花の香りが満ちる。店の一角が、吉川さんの奥さまが営む花屋としても開くのだ。「花を目当てに来られるお客さまもいるんですよ」。本と花が共存する空間は、ここならではの豊かな時間をつくり出している。

月替わりで若手作家を紹介するコーナーも人気だ。出版社や作家本人からの依頼が相次ぎ、大阪でも注目される個人書店として存在感を高めている。

本と人が出会い、静かに自由が息づく場所。

ブラックバードブックスは、そんな“物語の始まり”のような書店だ。

SHOP

blackbird books

blackbird books

〒561-0872 豊中市寺内2-12-1 緑地ハッピーハイツ1F

☎ 06-7173-9286

営業時間 10:00~19:00
月曜・第3火曜日定休
花店:note@bbb_green
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